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『カラスの親指』 [本]

ちょっとした知り合いが勧めていた本、

『カラスの親指』。

おもしろそうと思って読んでみることに。

ちょっと(ダイブ?)間が抜けて、おもしろく、切なく、

残酷なところもあり、ダマされるところもあり、

読了後に余韻が残る小説でした。


私はこの作品で、始めて道尾秀介氏の著書を読みましたが、

他の作品も読んでみたいという気分にもなりました。


さて、この作品の中で、みなさんにも伝えた~~~いと思ったところがあります。

少々長いですが、ご紹介しますので、ぜひ、みなさんも、

タケさんのように、テツさんの言うとおり、やってみてください。


下記の会話は、登場人物、テツさんとタケさんが、

「父親と母親はやっぱり二人揃っているのが一番なんだろうな、」

「どんな父親でも、どんな母親でも、そうなんですかねえ、」

と、それぞれ身につまされる体験を思い浮かべつつ、つぶやきます。


そのつぶやきにあることを思い出したテツさん。

タケさんに「片手を出して」と言います。

右手を出すタケさんに、テツさんが問いかける場面からです↓

・・・本文ココカラ・・・

「タケさん、それぞれの指のこと、何て呼ぶか知ってます?」
「俺は馬鹿じゃねえんだぞ。親指、人差し指、中指ー」
「じゃなくて、別の呼び方です。ほら、子供の頃、教えてもらったやつ」
「ああ」
武沢は右手の手のひらを顔の前に持って来て、指を一本ずつ動かしてみせた。
「お父さん指、お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、赤ちゃん指ーってやつか?」
「そうそう、それ」
中略
「お父さん指と、お母さん指、くっつきます?」
テツさんがそんなことを訊くので、武沢は親指と人差し指をくっつけてみせた。
「簡単だろ、こんなの」
「じゃ、お父さん指とお兄さん指は?」
「くっつくよ、ほれ」
武沢は親指と中指の指先をちょんちょんと合わせた。
「お父さん指は、お姉さん指とも赤ちゃん指ともくっつきますよね」
「くっつくな」
武沢は実際にやってみた。簡単だった。
「じゃ今度は、お母さん指でやってみてください。同じこと」
「どれ‥‥・」
武沢は人差し指を、中指、薬指、小指に、それぞれくっつけてみた。
ん、と思わす声を洩らした。小指だけ、人差し指と触れあわせるのが難しいのだ。
どうにかできはするのだが、指を傾ける角度に無理があり、筋肉が攣(つ)りそうになってしまう。
「母親と子供、なかなか上手く寄り添わなくないですか?」
「うん、難しいな」
「じゃあ、お父さん指をお母さん指にくっつけて、やってみてください」
武沢は親指を人差し指の脇に添えてみた。
「あ、くっついた」
親指が力を貸した人差し指は、難なく小指と寄り添うことができた。
「きっと、そういうことなんだと思いますよ」
中略
「どっちも揃ってんのが、やっぱり一番なんですよ。

・・・本文ココマデ・・・文庫版のP238~240より


読みながら、私もやってみました。

本当だ~と気づいたときに、不思議な気持ちになりました。


止むに止まれぬ事情で、両親がいない場合もあります。

それがいいとか悪いという話しではないことを

この小説を読んでいる中でならわかるかと思います。

この小説、映画にもなっているのですね。

読み終えたところで、偶然、別の方が映画が良かったと

伝えていて、なんでしょう、この繋がり・・と思いつつ、

映画も観てみようかな~と思っています。


カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/07/15
  • メディア: 文庫



・・・

あと6

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